夫自身の損害として,労働能力喪失率100%で計算した逸失利益,入通院慰謝料,後遺傷害慰謝料,終生介護料を請求できます。
また,妻自身の固有の慰謝料も請求できます。
いわゆる植物状態の場合,全く労働できなくなったわけですから,稼働可能年齢まで得られたはずの収入に基づいて逸失利益を請求できます。
また,死亡の場合と異なり,事故が無ければあったはずの支出である生活費を逸失利益から控除することもありません。
次に,入通院の期間に応じた慰謝料と,後遺障害の程度に応じた慰謝料を請求することができます。
なお,いわゆる植物状態の場合,後遺障害等級は3級以上になります。
さらに,植物状態の場合,生命維持に必要な付添看護費用も認められます。
もっとも,家族の付き添いを前提とするのか,看護師等の職業的付添人を前提とするのか,また,介護期間を平均余命までとするのか,それとも稼働可能年齢や事故から数年間に限定するのかなどについて,事案や裁判所によってまちまちになっています。
また,これらとは別に,植物状態の場合は近親者固有の慰謝料を請求することができます。
金額に基準があるわけではありませんが,数百万円程度まで認められることがあります。